2008年09月01日

ふるさと 9月



馬追いのひげのそよろに来る秋は
      まなこを閉じて思ひみるべし


 秋の気配が深まってくると、この長塚 節の歌を思い出す。田舎で暮らしていると、夜、灯火を慕っていろんな虫が飛び込んでくる。

そんな中に馬追いがまじる。薄みどりの翅(はね),頭から背にかけて一と刷毛の茶色、それも同じ色の長いヒゲが、なにかを探るようにそよろに動く。しかし、そうした風情もいまは望みがたい。

 人は、失ってからでないと失ったものの価値を知ることができない。

今の豊かな社会環境は、多くのものを与えてはくれたが、代わりにどれほど多くのものを失ったか、いまさらどうしようもないにしても、それを考えてみることは決して無駄ではないと思う。

 生活の利便さのみを追い求めるが為に、この地の自然なり、住む人の純粋さが失われつつあるのは仕方のないことだでは完全に目的逸脱である。そして残るのは、いかに便利な地か、この目標のみになる。

 ちなみのベンツという会社は毎年四%以上の増産はしないそうである。それはベンツとして保証のできる車の生産に従事する技術者の養成が四%以上は不可能だからという。

言い換えれば、目標ではなしに目的をしっかりと持っているからである。


目標と目的は一見同じようにみえるが、本質的には全く別だから・・・・・・・・。    


Posted by 鷲津商店街 at 08:00コラム ふるさと