2009年04月19日

人間には回復の能力がある。

脳の重さは大人で大体1300グラムだが、その脳へ送りこまれる血液は、体中の血液の20%近いという。1時間あたり45リットルもの血液が、休みなく脳へ送りつづけられている。大型乗用車がフルスピ-ドで走り続ける時に消費するガソリンは、1時間に10リットル、小型乗用車なら5リツトルぐらいであるのに比べると、脳の消費している血液の量の激しさが、実感としてうかがえよう。(森政弘著・心眼から)


 脳細胞が普通百億から百五十億個あって、20歳以降は毎日十万個ずつ壊れている、という話も驚きだが、一時間45リットルもの血液が脳に送り込まれているというのも驚きである。

 脳に送りこまれる血液の量は、おそらく誰も同じ程度であろうが、その血液によって養われている脳細胞の働きが、なぜ大きく変わってくるのであろう。

 老人になると意固地になるのは、血管が堅くなって血液が十分に流れなくなり、細胞を衰えさせているからであろうか、などと考えたりもするが、すでに数え年六十の私としては、あまりいい気持ちはしない。

 しかし、それよりも、同じ程度の脳細胞が、あるいは利欲を求めるためにのみ働き、あるいは名誉欲を追うことにのみ働き、また真剣にみずからのあるべき姿を探るなど、人により異なった働きを持つ、というのはいかにも不思議である。

 A新聞の記事で、MBCで、ケガでリタイヤした選手がその心境を語った中で
「ありがたいことに、人間には回復の能力が与えられている。早く直して出直したい。」と紹介していた。

「人間には回復の能力があたえられている」という言葉は、いかにもすがすがしい。

一日に壊れていく十万個の脳細胞や、年と共に衰える肉体的機能に、回復の能力がないのは残念だが、その他のかなりの部分で、また仕事などの面では、この言葉は十分当てはまる。自分のしている事や考えていることが、最善であると思い込んでいる人には無用の訓えであろうけれど。

 侵さず侵されず-などと日本の平和憲法のようなことを主張する人もいるが、それは肉体の衰え、頭脳の衰えを告白するに等しい。

侵せど侵されず、でなくてならない。そこでこそ回復の能力への感謝が生まれる。ただしそこに暴力があってはならないが。


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Posted by 鷲津商店街 at 18:05 │コラム

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