2008年08月17日

ふるさと 8月


酔っぱらい鳥の丸焼き

夏のドジョウはスタミナ食である。

ドジョウをおいしく食べるコツは、ドジョウに酒を飲ませることから始まる。生けドジョウを器に入れ、ひたひたになるくらいに清酒を注ぐ。最初は少し暴れるが、しばらくすると、ドジョウ達は酔っぱらって、すっかりおとなしくなる。

あとは煮るなり、焼くなり、定法に従えばよろしい。

 上海料理には、卵のたっぷり入った旬のワタリガニを生きたまま老酒漬けにしたものがある。これが有名な「酔っぱらったカニ」だ。

これは生けワタリガニに老酒を飲ませ、酔っぱらわせて一週間目ころが食べごろである。薄塩の新鮮なカニの姿のまま塩辛といったらいいだろうか。透き通った肉も赤い卵も舌がとろけるほどにおいしい。


ついでに言うならば台湾の「酔っぱらったウナギ」。台湾は今やウナギの大産地だが、本場で食べるウナギの台湾料理も、まずはウナギにたっぷりと老酒を飲ませ、酔っぱらわせることから始まる。

日本料理の手法に「スッポン煮」というのがある。これはスッポンの料理に、たっぷりと清酒が使われ、スッポンの生臭みを消す。

老酒をふんだんに使って豚のバラ肉をゆっくり煮込んだ「ちゅうめんろう」は、老酒の香りのぷんぷんする中国料理である。

清酒をたっぷり使った豚のバラ肉の水炊きもよろしい。沖縄の琉球料理は「豚肉に始まり 豚肉に終わる」とも「豚で食べられないのは息だけ」などというほど、豚とは切っても切れない縁がある。沖縄では子豚のときから、名酒「泡盛(あわもり)]の蒸留かすで育てるので、うまいのかもしれない。

酔っぱらい鳥の丸焼きを試みた。こちらは生きたまま酔っぱらわせるわけにはゆかない。料理用の注射器でヒナ鳥にところかまわず清酒(又は白ワイン)を注射する。あとは常法に従って、オ-ブンで焼き上げるだけである。

みずみずしくおいしい豪華な一品の出来上がりである。注射器は理科のコン虫標本作りに使うものでよい。アメリカにはアイデア商品として料理用の注射器があるとか。

しかるに酔っぱらい鳥の丸焼きは、男の料理としておこう


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